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吉村さん

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2006/03/29 (Wed) 21:48
新作

Please Your Smaile








「すみませーん!」

駅のホーム内に響く少女の声。

「カバン、落としてますよー!」

とても大きな声は、物凄く、遠くにいる人に呼びかけているようで、

実際そうだった。

カバンの持ち主であろうと思われる初老のお爺さんはクルリと振り返り、

遠くから駆けてくる少女の姿を目に焼き付けたのだった。

「はいこれ!もう落とさないでくださいね?」

少女は満面の笑顔でカバンを差し出し、お爺さんはそれを受け取った。

「ああ・・・ありがとうお嬢さん。このカバンの中、大した物はないんで、落としたって気にしなかったけれど。
お嬢さんが必死で届けてくれたから、大事な物になってしまった。本当にありがとう。」

と、お爺さんは言った。

「じゃ、私、学校に遅刻してしまいますので、これで!」

と少女は雑踏の中へ駆け込んでいった。

お爺さんは少女が去ってゆくのを見届け呟いた。

「名前、聞いておくべきだったかな?ずっと覚えていたいからな・・・」

と、残念そうに。

その少女の名は宮島 利子。

近くの中学校に通う3年生で、小柄で、髪が少し短めの子だ。

美人、というまでもないが、まあどちらかと言えば可愛いと呼べる程度だった。


「おい宮島~、また遅刻かー?」

担任の佐伯 孝子が叫んだ。

教室の後ろのドアから申し訳なさそうに入り込む利子は槍に突かれたように震えた。

「すいません・・・・」

「全く。宮島は受験生なんだよ?もうアンタ遅刻何回目だと思う?・・・高校、ダメになっちゃうよ~?」

ダメになっちゃうよ~?の部分を特にゆっくりと言われた為、利子はギクリを身を引いた。

「はあ、遅刻減らさなきゃなぁ・・・」

「あんた朝家で何してんの?」

席につこうとする利子に話しかけたのは、親友の木村 美加だった。

「家はすぐ出る!ただ・・・」

「ただ・・・?」

「・・・・やっぱりまだ話さない!」

「何よ、もう。いつか話してよ?」

利子は黙り込んでいた。

学校でも『親切屋さん』なんて言われてるんだから。

駅でも親切やってるって言っちゃったら、

『親切屋さん』なんかじゃなくって、もっと過剰な呼ばれ方になっちゃうかもしれないじゃない!


外はまだ夏の香りが残っており、

空は青く、木々はまるで呼びかけるように揺れている。

今日は夏休みの学年登校日だったのだ。

「リコ、勉強してる?」

「ううん、やってない。美加は?」

「ぜんぜん。」

「一緒かァ・・・」

「一緒にしないで。」

「何で?」

「あんたより優等生なの!」

「この優等生気取りが!」

二人で小突きあいながら通りを歩いていた。

「おばあちゃーん、はやくー」

小さな男の子が横断歩道の前で叫んでいた。

後ろには、重たそうなスーパーのビニール袋を両手を提げたお婆さんが辛そうに歩いていた。

「もっ、持ちましょうか?」

利子は走って手を差し伸べた。

「あら・・・じゃあ横断歩道のとこまでお願いできるかしら?孫が待ってるの。」

「はい!」

利子は元気よく返事をし、袋を抱えた。

汗が額をよぎる。

太陽がカンカン照り。

それでもゆっくり足を伸ばしていった。

「持とうか?」

運ぶのに夢中で隣に美加がいることなんて気づかなかった!

「下、持ってて。」

と言うと、美加は下を支えてくれた。


「本当に、ありがとうございます」

「いえいえ。バイバイ、ボク。」

二人はお婆さんと男の子を見届けていた。

「あんたってほ~んとうに、親切屋さんね。

「それ、言わないで」

「だって本当なんだもん。親切屋さ~ん、私のカバン持って~」

「自分で持て!」

「ケチ屋さんね」

やや日は沈み、赤みががった光が二人の影を映していた。
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