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2006/03/29 (Wed) 22:49
続き

Please Your Smaile 2







次の日親切屋さんは、またも営業をしてしまった。

通学路の途中で、なにやら地面とにらめっこしている若い男の人を見かけて、ついつい

「どうなさいました?」

と声をかけてしまったのだ。

男の人は、

「コンタクトレンズを落としてしまったんです・・・」

と力なく答え、利子はどうしても一緒に探さねばならなかったのだ。

結局、見つかったのだが、

おかげで今日も遅刻。

しかし、レンズを渡した時の男の人の顔といったら。すっごく嬉しそうだった。

しかし担任の佐伯はすっごく嬉しくなさそうだった。

「今まで目をつぶって出席簿に出席、って書いてたけど、もうこれからは全部遅刻、って書いちゃうよ?それでもいいの?」

「すいません~」

佐伯は優しさと厳しさの調和の良さが定評の人気のある教師だが、受験生に対して、特に自分のクラスの生徒に対しては、その調和が崩れていた。

つまり、厳しさの方に偏っているということだ。

「差別だよ」

と思う生徒もいるかもしれない。

でも大抵は、

「受験生だから」

と自分の中で理解しているのがほとんどだ。


「孝子ちゃん、すっごい悪そうだったよ」

学級委員の綾瀬 理奈が言う。

「出席簿渡す時、リコの名前見た瞬間、鼻息荒くなったもん」

「もうこれ以上遅刻しないでね。親友である私の名誉が傷ついちゃう」

「優等生気取りしちゃって!・・・・でももう遅刻は致しません。本当に皆様、これからも宜しくお願いします。」

「申し訳ありません、でしょ」

みんなが笑った。

利子は自分の目の前にある弁当を見て、

ああ、新学期が始まったんだな、と思った。

もう始業式も終わって数日。これからは授業がみっちり入っている。

チャイムが鳴った。昼食の時間の終わりを告げたのだ。

昼休みに入り、生徒がざわめく最中、

「宮島ー」

という男子の声が聞こえた。

「またアイツよ、リコ」

と美加が言った。

「栄太君ね。行ってくる」

教室の入り口から飯塚 栄太が顔を出していた。

「数学の教科書、貸してくんねーかな?」

「数学?うん、いいよ」

利子はそう答えると、教室の中へ戻り、そして栄太に教科書を手渡した。

「サンキュ、な」

栄太は軽く手を振った。

「うん、今日の数学、難しかったら言ってー」

と利子は去りゆく栄太の背後から言ったのであった。

教室に戻ってみた時の美加達の顔といったら。

阿修羅観音のようであった。

「リコ、アイツに甘くない?」

と美加。

「アイツ、人に借りすぎよ。特にリコに」

と理奈。

「そうだけど、貸さなきゃ困っちゃうでしょ?」

利子は全く気にしていない。

「甘すぎよ。もう少し厳しく。バラのトゲを生やしなさい」

「美加はトゲだらけなのよ」

理奈が笑いながら言った。

「トゲは少しだけでいいの。リコはトゲすらないのよ」

理奈が笑顔で言った。

「ふうん・・・」

利子には理解しづらいことであった。

誰にでも親切しちゃう、そんな子であったし、

頼まれたことは全部断れない。

そんな私にトゲを持てだなんて、とっても無理だわ。

というのが利子の心境であった。


美加は理奈の冗談でふくれた顔をしていた。


「ホウキとってー」

放課後の掃除の時間。

利子は今日掃除がなく、美加と理奈が終えるのを待っていた。

「宮島いる?」

ドア越しに栄太の声が聞こえたような気がした。

そういえば教科書を貸したんだった。

「宮島ー、教科書」

「あ、はーい」

利子はドアに駆けていった。

「今日、結構難しかったぞ。じゃあコレ・・・本当にありがとう」

「うん、どうも。今日難しかったのかあ」

「ああ。三平方の定理で特に覚えにくいのがあったんだ。特に覚えづらくてよぉ」

「リコー」

ざわめく教室の中で美加の呼ぶ声がした。

「あ、じゃあそろそろ帰るね。また明日ー」

利子は手を振った。

「またな」

栄太は小さく手を振った。

去りゆく利子の背中を見て、栄太は愛情が沸いてきていた。

そして不器用に言ったのだ。

「―あ」

利子が振り向く。

「なあに?」

栄太はしばらく硬直していた。

何かを掴むような手の仕草をしていた。

「―なんでも、ないや」

「そう。んじゃ帰るねー」

「ああ、ごめんな」

栄太は自分の教室へ戻っていった。

利子が顔を戻すと、佐伯の姿が大きく映っていた。

「うお、先生。ビックリしたあ」

「宮島、明日は―」

「遅刻したら許さない、でしょ?」

佐伯は今回ばかりは利子はしっかりしたものだ、と感心してしまった。今回ばかりは。

「わかってるじゃないー。」

「でしょ?先生。私、根は立派なんだから」

「いやね、さっきあんたが男とうつつを抜かしていたもんだから、気になってね」

利子の顔が真っ赤になった。

「先生見てたの!?」

「男遊びはほどほどにしろよ!」

と、佐伯は顔を指を突付いてきた。

職員室へ向かう佐伯の背中を見て、

「そんなんじゃないよぉー」

と利子は叫んだのであった。

「美加、何してんの!」

と美加と理奈から叫ばれた。

「ごめーん」


駆けてゆく利子の姿を見て、

より一層利子のことが好きになってしまった栄太は、

自分がさっき『ついついやってしまった小さな告白』を、後悔せずに立っているようだった。
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